VNEXTの会社紹介資料
2023/06/16
現代のソフトウェアやシステム・アプリなどの開発業務は、海外会社にアウトソースする手法、
すなわち「オフショア開発」の活用が主流といっても過言ではないかもしれません。
2012年にある独立行政法人が行なった調査で、すでに45.6%もの日本企業が活用していると発表されたことからも、
現在はより多くの企業が導入していると予想されます。
一方で、オフショア開発の契約形態をどうするべきか悩んでいる企業も多いはず。
オフショア開発の契約には「ラボ型開発」と「請負型開発」の2種類があります。
今回は、オフショア開発で近年注目されているの「ラボ型開発」とはなにか?「請負型開発」の違いとメリット・デメリットを解説します。
この記事を参考に、どのような契約を提示すれば良いのか考えてみましょう。
目次● オフショア開発の契約形態● ラボ型開発とは▶︎ ラボ型開発が注目されている理由▶︎ 準委任契約・請負契約の違い● ラボ型開発のメリット・デメリット▶︎ ラボ型開発が向いているケース▶︎ ラボ型開発と請負型開発の比較● 契約前の準備が重要● まとめ |
|オフショア開発の契約形態
上述のとおり、オフショア開発では「ラボ型開発」と「請負型開発」の2種類の契約があります。
オフショア開発を導入する上で、プロジェクトの内容や目的によってどちらを選択するかが異なります。
まず、この契約について説明する上で、委託者側・受託者側という言葉が出てきますので、言葉の意味を整理してみましょう。
・委託者側 = 開発業務を依頼する(発注者)
・受託者側 = 開発業務を行う(オフショア開発会社)
以下からは「ラボ型開発」とはなにか?「請負型開発」との違いとそれぞれのメリット・デメリットも含めて解説していきます。
|ラボ型開発とは
ラボ型開発は、開発期間で契約をして、社外に専属の開発チーム(ラボ)をつくり開発を進めていくことです。
別名「ラボ契約」「ODC(オフショア開発センター)契約」とも呼ばれます。
開発を委託する際、従来では請負型開発が一般的でした。請負型の場合、ソフトウェアやシステムといった成果物単位で契約をするため、
成果物が完成したらチームは解散します。
一方、ラボ型開発は開発期間で契約をします。
一定期間(3ヶ月〜1年ほど)で人材を確保し、委託側の指示のもとに開発業務を行うため契約期間中であればプロジェクトの進捗状況に応じて
開発内容を変更することも可能です。
・ラボ型開発が注目されている理由
ラボ型開発が注目されている理由は、主に以下の2点が挙げられます。
・継続的なIT人材の確保ができる
・スモールスタートでオフショア開発を導入できる
オフショア開発を導入する目的として「IT人材の確保」と「コスト削減」がありますが、
特に、日本のIT人材は既に不足しており、2030年までに40~80万人のITエンジニアが不足するとされています*。
*参考:経済産業省「IT人材育成の状況等について」
このような背景から、日本のIT人材は需要が高まっており、優秀な人材であるほどエンジニア単価も年々増加しています。
ラボ型開発は、自社の社員として雇用するのではなく、一定期間のみエンジニアチームを組む方法から、コスト面も含め上記の課題を
解決する手段として注目されています。
また、案件の予算でみた場合、請負型は「500〜1,000万円」の規模での開発が多いですが、ラボ型は月ごとの予算が設定されているケースが
一般的で「50〜100万円」の開発規模が大半を占めています*。*当社調べ
このように、まずはラボ型でスモールスタートし、軌道にのったら規模を大きくするなど、グロースしていく環境にあることも注目されている
理由となっています。
・準委任契約・請負契約の違い
開発における業務委託契約を把握することも重要です。
契約形態は大別すると「委任契約」「準委任契約」「請負契約」の3つに分かれます。
※この内容はあくまで一般的なものであり、契約書の内容によっては説明の限りではない可能性があります。
このうち「委任契約」は、法律行為に関する契約のことです。
「準委任契約」と「請負契約」は、外部に開発業務を依頼するという点では同じですが、”何を持って契約完了とするか”と”責任の所在”が異なります。
準委任契約(ラボ契約)は、上図のとおり「契約期間に仕事を実施」すれば契約完了となります。
ラボ型は開発期間で契約をするため、契約期間内に開発業務をおこなっていれば、ソフトウェアやシステムなどの納品物がなくても
契約違反にはなりません。
また、開発責任の所在はすべて「委託側(発注者)」となります。
請負契約(請負型)は、「仕事の完成」つまり「成果物の納品」をもって契約完了となります。
上述の「成果物単位で契約する」という内容がここにつながりますね。
責任の所在はラボ型とは反対で、すべて「受託側(開発者)」が負うことになります。
委託側からすれば、開発工程で起きた問題や課題、あらたなコスト追加などの責任を追わずに済むように「請負契約」を結びたいと思うものですが、
受託側としては、逆に責任を委託側に取ってほしいと思うものです。
どちらも金銭的な面で負担を強いられるのを避けたいためでしょう。
したがって、契約時の火種になりやすいのです。
このように契約内容が異なることも踏まえ、どの契約形態にするのかを考えましょう。
|ラボ型開発のメリット・デメリット
この契約における、委託側と受託側のメリット・デメリットは以下が挙げられます。
委託側の最大のメリットは、優秀な人材を確保することで低コストかつ高品質な開発が行なえるという点です。
オフショア開発を導入するメリットには「IT人材の確保」と「コスト削減」が含まれています。
一方で、品質に関しては受託側の力量に寄ってしまうことが課題でした。
しかし、ラボ型の場合、自社専属の人材を確保することで、長期的に知識や技術を養わせることが可能となり、その人材が優秀であるほど
品質も高くなります。
また、プロジェクトの進捗状況に応じて開発内容の変更ができるため、試行錯誤しながら制作物の品質を高めていくことも可能です。
デメリットとしては、優秀な人材の確保ができる反面、自社プロジェクトの開発レベルに合わせた人材を提供してもらえるよう
「人材の能力を見極める力」が必要になることです。
また、期間で契約をするため、契約期間内に案件がなくてもコストが発生してしまう点もデメリットのひとつです。
・ラボ型開発が向いているケース
上述のメリット・デメリットを踏まえると、以下のような場合にラボ型が向いています。
・開発中に追加修正や仕様変更が起きる可能性がある
・発注段階ではプロジェクトの方向性が決まっていない
・進捗状況を見ながら進めたい
・小さい単位で実装とテストを繰り返して開発を進めたい(アジャイル開発)
・複数の案件があり定期的に発注したい
・同チームで並行して案件を開発したい
ラボ型開発は、自社の既存サービス開発やユーザーの動きに合わせた柔軟な仕様変更が必要なWEBサービス、テストを数回繰り返す必要がある
システム開発などに適しています。
また、定期的な発注をしたい企業にはおすすめの契約形態です。
・ラボ型開発と請負型開発の比較
「ラボ型」と「請負型」について説明してきましたが、双方を比較した図がこちらです。
このように比較すると、外部に委託するといっても特徴や違いがあります。
ラボ型の特徴は、案件ごとに柔軟に対応ができるところです。仕様変更やチームサイズの変更も可能です。
一方、請負型は求める成果物を入手しやすく、仕様変更などは原則できませんが、変更が生じない分、余計なコストがかからず
開発にかかるコストを把握しやすい点が特徴です。
開発体制に関しては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】最適な開発方法を選ぼう!システム開発の種類と進め方
|契約前の準備が重要
オフショア開発をスムーズに進めるには、契約前の準備が重要となります。
多くの企業が海外の企業にアウトソースをすることからも、以下のような調整が必要です。
1. 契約書の作成
どのような契約を結ぶ時でも、必ず「契約書」を作成してください。
特に、海外の企業と交渉する場合は、契約書を作成しないと「言った言わない問題」に発展してしまう可能性があります。
いざというときに証拠となるものを準備しましょう。
2. 言語がしっかり通じる企業かどうか確認する
海外の企業とやりとりをする際は、必ず英語と日本語、両方の言語が通じる企業を選びましょう。
会議や打ち合わせで言葉が通じない、コミュニケーションが取れないことは思わぬ損害を生み出すリスクとなるからです。
3. 開発で揉めそうな点は、あらかじめ明確に規定する
上述のように、開発工程の中で起きる問題に対する責任の所在に関しては、両社が納得する形を取らないといけません。
契約してから揉めてしまうと、開発業務の遅れや最悪の場合打ち切りにつながる可能性もあるので、しっかりと話し合い必ず書面で残しておきましょう。
|まとめ
・それぞれの特徴を掴んで、効果的なオフショア開発契約を結ぼう
ここまで、オフショア開発の「ラボ型開発」とはなにか?「請負型開発」との違いやメリット・デメリットについてご紹介してきました。
双方の特徴やメリット・デメリットを掴んで、自社にとってどの契約がベストなのかを判断しましょう。
日本でのシステム開発といえば、「請負開発」という文化が根強く残っています。
そんな日本のクライアントの要望に応えるようにVNEXTでは様々な開発手法をとっています。
たとえば、お客様の課題とニーズに合わせ、ベースのシステム開発を「請負型」で行うことで集中的に開発を行い、リリース後の運用を「ラボ型」にすることでコストを抑えるなど柔軟に対応しております。
案件や要望に対して、多様なスタイルで開発型を提案することがVNEXTの強みでもあります。
まずは、お気軽にご相談ください。
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