VNEXTの会社紹介資料
2021/07/27
「オフショア開発」は、IT業界などでよく耳にする言葉のひとつです。「オフショア=陸地から海に向かって吹く風(陸風)」という言葉が示すように、海外で開発を行うことを「オフショア開発」と呼びます。開発のすべてを海外で行うというより、プログラミングやテストなど、工程の一部を海外の子会社やIT会社に委託することが多いです。
オフショア開発のもっとも大きなメリットは「安い人件費」。しかし、同時にデメリットも存在します。そのひとつが「言葉の壁」です。
言葉の壁によるトラブルやそれをこえるオフショア開発のメリット、オフショア開発導入の際に押さえておきたいポイントについて解説します。
言語の壁が引き起こすトラブル
国内での開発においても、認識や考え方の違いによって行き違いが生じるといったトラブルは後を絶ちません。異なる言語を使用する者どうしであれば、なおのことでしょう。言語の壁があると、どのようなトラブルが発生するのか、具体例を2つ挙げます。
・コミュニケーションをとるのが難しい
契約の締結までは現地の日本人スタッフなどに通訳を依頼するなどして進められたとしても、開発段階になると、現地のエンジニアと直接やり取りしなければならないことがほとんどでしょう。自社のエンジニアが英語に苦手意識を持っていたり、現地のエンジニアが母国語しか理解できなかったりすると、スケジュールどおりに開発を進めることが困難となります。
・文化の違い=認識の違い
言語が異なるということは、文化も異なるということです。これはビジネスにおける考え方の違いも含みます。日本では常識だと思われていることや、暗黙の了解で進められていることも、海外では通用しないことが多いものです。
たとえば、海外エンジニアは、仕様書に書かれていないことには基本的に対応しません。「この機能テストでは、こういうテストも含めて行うのが基本だろう!」と詰め寄っても、「テスト仕様書には書かれていない」と一蹴されることは多々あります。
オフショア開発には言語の壁を上まわるメリットがある
先ほどご紹介したように、言葉の壁には、システム開発を行ううえで大きな手間やトラブルを誘発する可能性があります。しかし、オフショア開発には、そういったデメリットを上まわるメリットがあるのも事実です。
・オフショア開発の最大のメリットは「コスト削減」
海外で開発を行う最大のメリットは、現地の人件費が国内に比べてかなり安いことです。開発費の大部分は人件費といえるため、この人件費を抑えることができれば、コスト削減に大きく貢献します。
・人材不足を補える
昨今の少子化の影響もあり、IT業界の人材不足は深刻な状況です。人材が確保できなければ、迅速な開発は実現できません。
また、海外の人材を利用するにしても、国内に駐在させたうえでの作業となれば、別のコストが発生します。その点、現地でのオフショア開発は、コストを抑えたうえで人材を確保できる最適の手法といえます。
・優秀な人材を低コストで確保できる
日本にくらべて人件費が安くなるとはいえ、現地では、ITエンジニアはほかの職業にくらべて好待遇であることが多いです。そのため、現地のIT会社には、激しい競争を勝ち抜いてきた優秀なエンジニアが多く集まってきます。
また、世界を相手にするIT会社であれば、実績もさることながら、社員の教育環境をしっかり整えていることも多いです。自社に雇い入れて1から教育するより、はるかにコストがかからないこともメリットといえるでしょう。
オフショア開発を導入する際に押さえておきたいポイント
これまで見てきたように、オフショア開発には言葉の壁によるデメリットと、それを上まわるメリットがあります。そこで、デメリットを少しでも小さくするために、押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
・要求仕様書には必要なことをもれなく記載する
オフショア開発では、依頼する作業について、細かいところまでもれなく記載した要求仕様書を作成することが欠かせません。「日本では“○○をテストする”といえば“△△のテスト”も含むのが当たり前」と思うのではなく、「“○○と△△をテストする”ときちんと書く」という意識を持つことが重要です。
また、成果物に付随するドキュメントなどについても「どのような項目を、どのようなフォーマットで書くのか」まで提示しておくと、期待したものと大きく外れることはないでしょう。
・進捗管理はこまめに行う
日本では、「納期は絶対守らなければならないもの」という認識が一般的ですが、海外ではそうともいい切れません。納期を守るために残業するといった考えがない国も少なくないのです。
そのため、進捗管理はこまめに行うことが重要です。できるだけ早い段階で問題を明確にすることが、進捗の遅れを最小限にすることにつながります。少なくとも、毎週末あるいは毎週明けに、進捗確認を兼ねたウェブミーティング(テレビ会議)を実施し、Face to Faceで進捗だけでなく、トラブル発生の有無を確認することをおすすめします。
・時差や休日を確認する
海外との仕事で忘れてはいけないのが、時差や休日の違いです。電話連絡や会議時間の決定の際は、相手国との時差や休日を考慮することを忘れないようにしましょう。また、スケジュールを立てる際には、相手国の長期休暇の有無も確認し、スケジュールに組み込む必要があります。
【まとめ】オフショア開発の秘訣はお互いへの理解を忘れないこと
オフショア開発における言葉の壁は決して小さくありませんが、トラブルを回避するためのポイントを押さえつつ、相手との文化の違いに理解を持って対応していけば、乗り越えられないものではありません。
身近な人とのコミュニケーションと同じように、お互いへの理解を忘れないことが、オフショア開発の秘訣なのかもしれません。